江戸時代の川柳です。兄貴とは梅のことで、正月に飾られる盆栽に花が咲いた梅の古木の根本に、そっと植えられて花を咲かせる福寿草のことを詠んだ川柳です。
縁起植物の代表は「松・竹・梅」です。従って正月の門松は松と竹が使われ梅は門松では使われていませんが、床の間という屋内の上座に盆栽として飾られます。そこに福寿草が添えられたのがこの川柳です。
福寿草は元日草ともいい、正月の季語としても使われ、昔から正月の草花として愛でられてきた縁起植物です。多数の花弁が輪状に開く姿はあたかも金盃のようで、金盃でおとそをという感じを抱かせます。この福寿草、花は日中に開いて夜になると眠りに入ってとじてしまい、規則正しく、礼儀正しい几帳面さも持ち合わせていて正に正月の花として愛でられています。
もっとも、この頃のように温暖化といっても野生のものでは正月には咲きません。正月に飾られるものは温室などで促成されたものです。
また、正月によく飾られるものに「センリョウ」があります。〈センリョウ科〉の常緑の小低木で本州中部地方より南の山林に生育し、葉は鮮緑で冬に実が赤く熟することから喜ばれ「センリョウ」は千両に通じ、昔から「千両箱」「千両役者」などといわれ、非常に大金、または非常に価値が高いことの代名詞として使われていることから「センリョウ」は千両を思わせることから正月の飾りとして喜ばれています。
この「センリョウ」千両に対して、万両と呼ばれるのが〈ヤコブコウジ科〉の「マンリョウ(万両)」です。
千両(センリョウ)より価値が高い万両(マンリョウ)ですが果実は同じ赤色ですが見た目ではセンリョウの方が果実が大きく多くかたまってつき、葉の緑と実の赤が鮮やかなので「千両(センリョウ)」の方が喜ばれています。
この他、「ヤブコウジ科」の中には「カラタチバナ(別名:百両)」、「ヤブコウジ(別名:十両)」というのがありいずれも赤い実をつけます。同じ「ヤブコウジ科」に「ツルコウジ」という植物もありこれも同じく実が赤いのですが、これには別名がありません。せめて一両とでもつけてくれれば一両から万両まで揃ったのですが、一両だけ抜けていて残念です。
●センリョウについての詳しい情報は、全農教「山野草・樹木生態図鑑」304頁参照
花が金盃を思わせる
葉の緑と実の赤が鮮やか
実がやや貧弱
実のつき方が少ない
実が小さい
茎はつるになって伸びる