彦根城は井伊家代々の居城として知られ、天守などは国宝になっている。ここには在来種のタンポポと帰化種のタンポポが住み分けているようだとの情報を得て、確かめるべく出かけた。サクラが満開の時期、大勢の観光客で賑わっていた。
彦根駅から城へ向かう道路沿いの植えマスには、コメツブツメクサ、スズメノエンドウ、ミチタネツケバナ、ナズナ、オランダミミナグサ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、ホトケノザなどで、東京周辺と似たようなものであった。タンポポはセイヨウタンポポの雑種型であった。
大手門に向かう内堀の手前の空き地にはセイヨウタンポポや雑種型が群生していた。ところが堀の内側(城内)の土手に咲くのはすべて在来種のタンポポであった。カンサイタンポポと判断した。カントウタンポポよりは全体にスリムで、総苞部が細く外片の先に角状突起がない。ゲートから入って、登っていく道ばたや空き地に咲くのもほとんどがカンサイタンポポである。
天守は最も高いところにあるが、その奥、西の丸の広場も大勢の人の憩いの場所になっている。よく踏みつけられるであろうにカンサイタンポポがたくさん咲いている。群落の一角でメモした。(数字は被度)
城の裏手を下る道の周囲はアラカシ、コジイ・コナラなどの林で、これが城を包む林の姿であろう。下りきるとまた内堀沿いに出るが、その一角にあるサクラやウメの園地にはカンサイタンポポが群生して花の盛りであった。オオイヌノフグリ、オランダミミナグサ、ミチタネツケバナ、ヒメオドリコソウ、シロツメクサなど帰化種が大半の群落のなかに(それだけ人手が加わっているであろうに)、日本のタンポポがその地位を譲らないかのように見えた。
人で賑わうイベント広場に近づけば、もうまったくのセイヨウタンポポ(やや雑種型)でカンサイタンポポはまれであった。
城の外は外来種のタンポポで占められているが、城内では人のインパクトを強く受けながらも在来種のタンポポががんばっている。まるで彦根城に籠城しているかのようで、声援を送りたい気持ちになった。