話のたねのテーブル

植物や虫、動物にまつわるコラムをお届けします。
No.81
山菜取りで食中毒に気をつけましょう(その1)
執筆者:廣田伸七
2010年03月17日

 今年は例年にない大雪に見舞われた年である。春3月、まだまだ北国では雪が残っていることと思われる。しかし、彼岸が過ぎると‘暑さ寒さも彼岸まで’の言葉通り、一日毎に暖かくなり、冬眠から目覚めた山野草がいっせいに芽ばえだす。
 これを‘待っていました!’とばかりに始まるのが、山菜取りである。すると、決まってテレビや新聞に報じられるのが、山菜による食中毒事故である。
 植物には〈似て非なるもの〉の例えどおり、姿形は似ていても、食べられるものと毒成分を含むものとがある。これを間違えると大変なことになる。
 春を迎えて、真っ先に始まる代表的な山菜取りは「フキ」であろう。
 田んぼの畦畔や道端、山麓に、まだ雪が残っていても、陽当たりのよい場所では黒々とした土が現れ、そこにふっくらとした「フキ」の芽が顔をのぞかせる(写真1)。これを摘んで、天ぷら・油味噌などにして食べると春の味を味わうことができる。
 ところが、これと時期を同じにして芽を出すそっくりさんが「フクジュソウ」である。形はふっくらとして丸みをもち、大きさも同じくらいで、山麓などに芽を出してくる(写真2)。「フキ」と間違えて食べると、「フクジュソウ」には有毒成分が含まれているので、下痢や腹痛を起こすことがある。
  山菜採りの際には、注意されたい。

●フキについての詳しい情報は、全農教「ミニ雑草図鑑」160頁参照
●フクジュソウについての詳しい情報は、全農教「牧草・毒草・雑草図鑑」223頁参照

写真1.フキ、幼植物
写真2.フクジュソウ、幼植物
写真3.フキ、成植物
写真4.フクジュソウ、成植物