話のたねのテーブル

植物や虫、動物にまつわるコラムをお届けします。
No.8
ネコヤナギは磁石の木
執筆者:廣田伸七
2009年03月11日

今年の冬は地球温暖化はここまで進んだかと思わせる程の異常気象である。2月中旬、暦の上では寒が明けたばかりで例年だと寒さが最も厳しい季節である筈が2月14日は暖かい暖気が日本列島に押し寄せて、春を飛び越して一気に夏の到来、気象庁によると静岡の清水区で26・8度、小田原で26・1度、千葉の茂原で25・7度と夏日になり、東京の都心も平年より13・9度上回る23・9度と6月下旬並みの陽気で気象庁初の記録と言われた。
しかし、これもさすが数日したらまた例年の寒さに戻った。
高い山はまだまだ冬景色。この早春の山登りで若し道に迷ったら澤に降りて谷川のほとりに生育するネコヤナギを探してその花穂を見ろ。ネコヤナギが方角を教えてくれると昔から云われている.何故か ?

ネコヤナギの雄花穂は大きく、早春のまだ他の木が眠っている頃、ネコヤナギの花穂が春の陽を浴びると南に面した方が大きく膨れて開花する。すると花穂の先端は自ずと反対側の北を指すことことになり、ネコヤナギの先端が指す方向が北である。従ってネコヤナギの花穂の先端を見れば北の方角が分かると言う訳である。このためにネコヤナギは「方向指示植物」「磁石の木」と云われている。
ネコヤナギは雌雄異株で雄株の花穂は大きいが雌株の花穂は細くて短いのでよく分からない。
花屋で春先に売られているのは総て雄株の花穂である。
春にネコヤナギの花穂を買ってきて生け花にするときは、花穂の先端を窓と反対の方向に向けて置くよう方向を考えて生けるようにしないと生け花の花穂が狂ってしまうので注意が必要である。

陽があたった南側が膨れて先端が北向きになった状態
前に同じ
雌株の花穂、細くて短い
雄株の花穂、花が咲き終ると花穂は左、右に広がる
雄株、花が咲き終り左、右に広がり始めたもの