陸生から水生まで、カメムシの全分野を網羅。
■日本原色カメムシ図鑑(陸生カメムシ類)全3巻を発行している全農教が「より入門的なカメムシの本を」との読者の声に応えてお届けする総合的なカメムシ学の基本図鑑。
■分類図鑑では掲載が難しい生態的な写真、細部の拡大写真など斬新な切り口の画像を豊富に登載しました。
■陸生カメムシから水生カメムシまで、分類から生態まで、採集から同定まで、カメムシの基本をすべて網羅し、多様性に富んだカメムシの理解に最適な入門書です。
第1章 カメムシの形とくらし
高山から遠洋海面まで、驚異的な適応を遂げたカメムシ類-その多様性をきわめた形態と生きざまを紐解くため、本章では考えられるあらゆる視点からのアプローチを試みました。昆虫の5大グループのなかで甲虫、蝶・蛾、双翅類、蜂・蟻を、それと認識するのはたやすいことです。他方、アメンボやグンバイムシを椿象(カメムシ)類と即答できる人の少ないことは、カメムシの形とくらしの多彩なバリエーションを端的に示唆しています。さあ、扉をひらいてみましょう。そこは茫洋深遠なカメムシワールドへの改札口です。
【第1章の内容】
カメムシの基本形態
カメムシの多様な食性
口器のしくみ
臭腺とそのしくみ
においと警告色
カメムシの小楯板
カメムシの翅
カメムシの脚
カメムシの頭部と感覚器官
カメムシの腹部
配偶行動と交尾様式
産卵と卵
孵化前後
幼虫と成長
脱皮と羽化
子の保護・育児-カメムシの亜社会性
発音とコミュニケーション
移動と分散
カメムシの種内変異
カメムシの種間関係
保護色と擬態
カメムシの天敵
冬のくらし
第2章 カメムシを探そう
わたしたちを取り巻くあらゆる環境に広がるカメムシの世界。草花から樹木、草原から森林、それらを育む土壌、そして田畑、湿地、河川、湖沼から海岸まで、いたるところに個性的なカメムシたちが暮らしています。身近な公園や家屋、学校などの建物でもカメムシを見つけるチャンスは少なくありません。本章では、どのような環境にどんなカメムシがいるかを紹介します。実際に見つけようと野外に出たとき、どこを探してもカメムシに出会えるよう、それぞれの生態に接近できるようなヒントを凝縮しています。
【第2章の内容】
植物を探す 1.花
植物を探す 2.果実と種子
植物を探す 3.葉
植物を探す 4.茎
植物を探す 5.樹幹
植物を探す 6.シダ・コケ類
キノコや菌類を探す
地面を探す 1.草原
地面を探す 2.落ち葉・枯草
地面を探す 3.倒木・地中
水辺を探す 1.湿地・田んぼ
水辺を探す 2-1池沼の水中
水辺を探す 2-1池沼の水面
水辺を探す 3.河川環境
水辺を探す 4.海岸
建物を探す
意外なすみか
第3章 いろいろなカメムシ
本章では日本に見られる陸生~水生カメムシ全55科について、できるだけ簡潔に特徴をまとめ、紹介します。科を知ることが、同定への一番の近道です。手元のカメムシの名前がわからないとき、やみくもに図鑑のページを繰って絵合わせするより、該当する科の部分だけ調べることができれば、属や種の特定が楽ちんです。私もカメムシの勉強を始めたころは、まずは科を一目で見わけられるようになろうと心がけたものでした。この章が、本書を手にとられた皆さんにとって、少しでもお役に立てたら幸いです。
【第3章の内容】
カメムシの系統と分類
カメムシ科/キンカメムシ科/ノコギリカメムシ科/ツノカメムシ科/ツチカメムシ科/クヌギカメムシ科/マルカメムシ科/ヘリカメムシ科/ホソヘリカメムシ科/ヒメヘリカメムシ科/ツノヘリカメムシ科/オオホシカメムシ科/ホシカメムシ科/マダラナガカメムシ科/ヒョウタンナガカメムシ科/ヒゲナガカメムシ科/クロマダラナガカメムシ科/コバネナガカメムシ科/オオメナガカメムシ科/ヒメヒラタナガカメムシ科/チビカメムシ科/ホソメダカナガカメムシ科/メダカナガカメムシ科/イトカメムシ科/ヒラタカメムシ科/マキバサシガメ科/ハナカメムシ科/トコジラミ科/サシガメ科/カスミカメムシ科/フタガタカメムシ科/グンバイムシ科/コオイムシ科/タイコウチ科/マツモムシ科/ミズムシ科/マルミズムシ科/タマミズムシ科/コバンムシ科/ナベブタムシ科/メミズムシ科/アシブトメミズムシ科/アメンボ科/サンゴアメンボ科/カタビロアメンボ科/イトアメンボ科/ケシミズカメムシ科/ミズカメムシ科/ミズギワカメムシ科/サンゴカメムシ科/アシナガミギワカメムシ科/クビナガカメムシ科/オオムクゲカメムシ科/ムクゲカメムシ科/ノミカメムシ科
第4章 カメムシ博士をめざして
カメムシたちのさまざまな生活場所と生態に触れ、首尾よく得たサンプルを標本にこしらえて正しく同定する―この地道な作業の繰り返しこそ、「カメムシ道」の奥義を追求する修行そのものと申せましょう。とはいうものの、簡単に出会うことのできるカメムシはさほど多くはないのも自然の理、あらゆる手法を駆使し、探索・採集する必要に迫られます。標本箱に並んだカメムシを愛でるのがもっぱらという方も、きれいな画像におさめるだけで標本無用という向きにも、ぜひ一読をおすすめしたい本章です。
【第4章の内容】
野外での採集と観察法-常備すべき七ツ道具
野外での採集と観察法-環境に応じた最適の採集法を選ぼう
野外での採集と観察法-ライトトラップ
野外での採集と観察法-さらなるトラップや採集アイテム
固定・一時保存・運搬(p.182-183→)
標本の作製-愉しくも果てしない標本づくり
標本の作製-忘れてはならないラベリング
同定と高度な形態観察-種を決定する最終ステップ
〈付〉もっと知りたいカメムシの世界
【付の内容】
カメムシと人間
人間とカメムシ
カメムシの飼育
海外の変わったカメムシ
カメムシランキング
役に立つ文献・書籍
カメムシ和名索引(兼和名・学名対照)