キク科は双子葉の中で最も進化した植物といわれており、世界で約2万種、日本でも約350種が知られている。頭花は筒状花だけ、あるいは筒状花と舌状花からなり、乳管があり切ると乳液が出るキク亜科と、頭花は舌状花だけからなり、茎や葉に乳管があり、切ると乳液が出るタンポポ亜科に分かれる。花粉もキク亜科とタンポポ亜科では異なり、外皮の模様(彫紋)では、キク亜科は刺がはえており、タンポポ亜科はさらに畝が発達し網目構造となっている。キク亜科では刺が花粉全域に見られる。刺の形は種によって異なり、丸みを帯びたり、尖っているものがある。刺やその周辺では小孔が見られる。タンポポ亜科のタンポポは畝の上に刺が並んでいる。刺は古い形質と考えられているが、タンポポは再び刺を発達させたと考えられている。虫媒花にとって、刺は花にくる昆虫にくっ付きやすくしているのだろう。キク科の花粉の大きさは、ほぼ15~30μmである。
花粉は一個の細胞ではない。花粉母細胞が減数分裂して、花粉粒になると、花粉は2個の核を持つようになる。花粉管核と生殖核である。キク科の花粉はさらに核分裂が進み、3核となっている。花粉管核と2個の精核である。一個の大きな栄養細胞に、小さな2個の精細胞が入れ子になっている状態である。水を吸った花粉は花粉管を伸ばすが、その花粉管を外に出すために、花粉の外皮につくられている孔が、発芽口である。発芽口が丸か楕円の場合は孔型(発芽孔)、細長くなっている場合は溝型(発芽溝)という。キク科は発芽溝が3つのものが多い。オオブタクサを見ると、発芽溝の中に発芽孔が見られる。キク科は全てこのように、発芽溝の中に発芽孔が組み込まれている。タンポポやアキノキリンソウではその発芽孔を、大きな丸い蓋(口蓋)が被っている。
キク科の多くは虫媒花であるが、風媒花であるヨモギ、ブタクサ、オオブタクサなどは花粉症を引き起こしている。単為生殖をするシロバナタンポポやセイヨウタンポポなどは形態が異なる異形花粉を生じる。大きさも様々である。カントウタンポポとセイヨウタンポポの雑種が広がっていると報告されているが、セイヨウタンポポの花粉のあるものは、受粉能力があり、雑種が生じたのだろう。