鳥の羽の色は様々である。特に雄にきらびやかな物が多い。雌にアピールして選んで貰うために雄は地味な色の雌に対して、艶やかな色になっていった。当然捕食者に対しては危険度は増すが、子孫を残すためにはやむを得ない選択肢のひとつであったのだろう。鳥の羽の色は他にも紫外線から身を守ることもある。鳥の持つ色素は、ほ乳類と同じメラニン色素だけである。ほ乳類に比べよりカラフルな色を示すのは、餌の色素を羽に貯めることと、構造色による。多くの構造色は小羽枝の表面のケラチン層によって起こるとされ、さらに裏打ちしているメラニン色素により、反射されなかった光を吸収し、色を強調していたり、メラニン顆粒そのものが構造色の原因となっていることもある。今までハトタイプ、クジャクタイプ、カワセミタイプが報告されている(2007.吉岡伸也)。
ドバトの首の部分は、光線により色が変化する。ハトタイプは小羽枝の外皮がシャボン玉と同じ、薄膜干渉を起こすことによる。
クジャクタイプは小さな粒の配列による。さらに反射されなかった光を顆粒に含まれている色素が吸収し、色を強調することで艶やかさが増す。クジャク、マガモなど鳥の種類により、この小さな粒の形や配列の仕方が異なっている。
カワセミタイプは、青い羽根を持つカワセミやカケス、ルリビタキで、細かい網目が青色を作り出していると考えられている。
今までカケス、カワセミ、キジ、キンバト、コガモ、マガモなど身近な鳥の構造色を電子顕微鏡で見てきたが、熱帯林ではより鮮やかな鳥が見られる。今年の8月にボルネオのキナバル国立公園で動物局の鳥の標本を見せて貰ったが、ルリコノハドリの青色、タイヨウチョウの仲間の様々な金属光沢色、キヌバネドリのオレンジ色は構造色によるものである。ハミングバード、キヌバネドリなどの、先に述べたタイプの別の仕組みによる構造色の報告もある。世界には多くの種類の鳥が生息している。カラスの黒い羽も光加減によって色が変わる。もっと様々なタイプの構造色の報告が増えていくと思われる。