話のたねのテーブル

植物や虫、動物にまつわるコラムをお届けします。
No.22
植えマスの雑草(3月)
執筆者:岩瀬 徹
2009年05月27日

 街路樹の根元にはたいてい四角のわくが設けられていて、そこは土が現れている。このわくを植えマスと呼んでいる。土があれば当然雑草が生えてくる。街路樹は植えたものだが雑草は勝手に生えてくる。それは自然のしくみに組み込まれているといえよう。それを追うのも街のなかでできる小さな観察の一つである。
 私は以前から、皇居のお堀に沿った街路樹の植えマスの雑草を見て記録をしてきた。都心にあって孤立したミニ自然をなしている植えマスには、ある定まった雑草の生え方のあることを知った。同時に時代の流れによる種類の変化のあることも知った。
 出かけた先で植えマスがあると気になって、記録をとらぬまでものぞいて見る癖がついた。たまたま今年、八千代市のゆりのき台通りというところの街路樹(ヒカンザクラ)の植えマスで、雑草をメモしたのでそれを記してみた。
植えマスは1.5mほどの方形で、根元保護の金属製の網がかぶせてあり雑草はその間からのびている。2箇所の植えマスで雑草の種類と、それぞれが被っている面積のおおよその割合を%で記録した。

 この近くの植えマスは3年前にも見たことがある。種類は似ているがそのときナガミヒナゲシは記録されていない。最近増えたものであろう。またホトケノザが見られるが、これは畑に咲いているホトケノザとは趣を異にしている。近年街なかに増えている型で、葉や茎が大形でほとんどが閉鎖花である。畑のホトケノザのような可憐な感じではない。これは外来のものではないかと秘かに疑っているがまだ確証はない。
 この植えマス群落がこれからどうなるか毎月追ってみたいと思っているが、いつ除草されてしまうかわからない。うまく残されていたらまた報告したい。

参考図書:「植物の生活型の話」岩瀬徹著(2006)全農教

街路樹の植えマス群落 (09.3.16データAのところ)
街路樹の植えマス群落 (09.3.16データBのところ)
近年増えている街なかのホトケノザ