外来種による生態系や遺伝子の攪乱は、それまでの長い年月の中で確立されてきた生物相に多大な影響を与える可能性が高い。また、農作物などを媒体として侵入するケースがほとんどであり、外来種に占める害虫の比率が高い。現在ほど、物流のグローバル化が進んだ時代はなく、外来種の情報は重要性を増しているが、残念なことにこれまで外来昆虫(害虫)について体系的に解説された成書がありませんでした。
本書はそれぞれの分野での第一線の専門家の協力を得て初めてなしえることができた外来種や天敵の専門的な図鑑です。明治以降、国内に侵入してきた外来種280余種を対象に、生態や形態の特徴、原産国についての解説のほか、侵入の経緯についても詳しく解説していなす。
掲載種(解説集・参照種を含む)
[害虫類]
●ハチ・アリの仲間 5種
●チョウの仲間 28種
●ハエの仲間 18種
●コウチュウの仲間 61種
●カメムシの仲間 85種
●アザミウマの仲間 8種
●シロアリの仲間 5種
●バッタの仲間 1種
●ダニ類 16種
●ザリガニ・ダンゴムシの仲間 2種
●カブトエビの仲間 3種
●ナメクジ・マイマイの仲間 15種
●センチュウ類 3種
[天 敵]
●30種
[侵入警戒種]
●8種
本書の目次(執筆担当)
カラー写真図版
概 説(桐谷圭治・森本信生)
外来害虫・導入天敵類解説
1.外来害虫類
ハチ目(膜翅目)(森本信生・広瀬義躬・湯川淳一・梅谷献二)
アリ類・ハチ類
チョウ目(鱗翅目)(東清二・吉松慎一・梅谷献二)
チョウ類・ハマキガ類・ホソガ類・イラガ類・ツトガ・メイガ類・ヤガ類・ヒトリガ類他
ハエ目(双翅目)アリ類・ハチ類(湯川淳一・笹川満廣・梅谷献二・東清二)
タマバエ類・ハモグリバエ類・ミバエ類・ハナアブ類
コウチュウ目(鞘翅目)(平野幸彦・森本桂・東清二・梅谷献二)
カミキリムシ類・ゾウムシ類・マメゾウムシ類・ハムシ類・テントウムシ類・カツオブシムシ類ほか
カメムシ目(森本信生・東清二・高井幹夫・河合省三・宮崎昌久・松井正春・梅谷献二)
グンバイムシ類・カメムシ類・セミ類・ウンカ・ヨコバイ類・キジラミ類・コナジラミ類・アブラムシ類・カイガラムシ類
アザミウマ目(総翅目)(工藤巌・東清二)
シロアリ目(等翅目)(森本桂)
バッタ目(直翅目)(梅谷献二)
ダニ類(江原昭三・後藤哲雄)
その他節足動物(梅谷献二・森本信生)
線虫類(皆川 望・森本 桂)
ナメクジ・マイマイ類(黒住耐二・梅谷献二)
2.移入天敵類
寄生バチ類(広瀬義躬・東清二)
その他の天敵昆虫類(平野幸彦・梅谷献二・広瀬義躬・高井幹夫)
捕食性マイマイ類(黒住耐二)
捕食性ダニ類(江原昭三・後藤哲雄)
日本の植物検疫
1.植物防疫所と輸入植物の検疫(石川光一・梅谷献二)
2.侵入を警戒している害虫類(梅谷献二・皆川 望)
付録:分類表・参考文献・索引(学名・和名・英名)