Oenothera rosea L'H-r.ex Ait. の花はいつ咲く?
ユウゲショウはアカバナ科の越年草ないし多年草である。熱帯アメリカ原産といわれ、明治年間にはすでに観賞用に導入されたらしいが、近年急激に増えて街なかの空き地や道ばた、畑の周辺などにたくさん見られるようになっている。
これとは別にオシロイバナにユウゲショウという呼び方があるので、こちらをアカバナユウゲショウと呼んで区別することもあるが、いまユウゲショウといえばまずこちらを指している。
ユウゲショウは‘夕化粧’で何やら意味ありげな名前であるが、近縁のマツヨイグサ類と同じように夕方花が開き翌朝にしぼむと見なされて付けられたのであろうか。「日本の帰化植物」(平凡社)には、「夕暮れに開花する」と書かれている。「日本帰化植物写真図鑑」(全農教)には「花は夜咲き」としている。インターネットの情報も「花は夜開くが昼のうちに咲くものもある」といったあいまいな表現が多い。
さて、実際にユウゲショウを観察してみると、夕方開いてこないばかりか日中咲いていた花がほとんどはしぼんでしまう。ではいつ咲くのか。2008年の5月から6月にかけて何人かでそれを確かめた。その結果は岩瀬徹・川名興・飯島和子共著「校庭の雑草(CD付)」(全農教 2009)に記されている。
ユウゲショウの開花は、未明の4時から5時ごろであることがわかった。日中は咲き夕方6時から8時ごろにしぼむ。花によるばらつきがあり、7月暑くなるとしぼむのが早まった。つまり1日花であるがまれに夕方しぼまず翌日まで続く花もあった。
小著「形とくらしの雑草図鑑」(全農教)p.73 のユウゲショウの項でも「夜開花する」と記しているが、「花は未明に開く」と訂正したい。
ちなみに、近年街なかに増えているヒルザキツキミソウ Oenothera specioza Nutt.についても飯島らが調べたが、開花は夕方ではなく未明であることがわかった。そして多くは夜もしぼまず翌日まで続く2日花であることを知った。この経過についても上記の「校庭の雑草」に述べられている。
ヒルザキツキミソウ、ユウゲショウは全農教「校庭の雑草」83・148頁参照、「形とくらしの雑草図鑑」73頁参照