私たちを含めて動物はブドウ糖をつなげてグリコーゲンにして肝臓や筋肉中に貯える。植物も同様に多糖類として種子・根・茎にデンプンとして貯える。イモ類のデンプンやコムギ、イネ、トウモロコシなどの穀類にも多くのデンプンが含まれる。デンプンをつくるのは色素体で、葉緑体と白色体である。その色素体の中でデンプン粒として貯蔵される。葉緑体中の同化デンプンは夜の需要に備えた貯えとなり、昼間の終わりには大きくなり、夜間に分解が進む。移動の際デンプンは水に溶けないので、分解され可溶性の糖になって、師管を通って必要とされるところに運ばれる。種子・根・茎などの貯蔵器官に貯えられるデンプンは長期にわたって貯えられるので、貯蔵デンプンという。穀類では胚の栄養源として胚乳の中に70%以上含まれる。ジャガイモでは白色体に一個のデンプン粒ができるが、米では数十個のデンプン粒が詰まっており角張って見える。このように白色体に一個できる場合を単粒、複数個できる場合を複粒という。サツマイモなど両者が混在する場合もある。貯蔵デンプンは植物の種類により形が異なっており、同化デンプンに比べると大きい。ジャガイモは発芽の際にエネルギー源としてこのデンプンが使われるが、デンプン分解酵素により、可溶性の糖になって利用される。そのため芽の周辺ではデンプン粒が消失し、空隙が空いている。バナナなどは、まだ青い内は大きなデンプン粒が見られるが、糖度が増すにつれてデンプンが糖に変わるため、空隙が見られるようになる。地球上の大多数の民族の主食はイネ・ムギ類をはじめとしてデンプンである。このデンプンはアミロースとアミロペクチンからできており、普通のデンプンはアミロースが大部分で、ヨウ素デンプン反応では青色になる。穀類の「モチ」といわれるのはアミロペクチンが多く、アミロースは少ない。反応ではアミロペクチンは赤褐色を呈する。