●イソシギ
・ムシバミ(虫食)新潟県
尚学図書編(1889)『日本方言大辞典』に、イソシギの他にムシクイ(虫食)系の方言はモズ、カッコウ、ホトトギス、カケス、ツグミ、シジュウカラ、ツツドリ、マミジロ、ヨタカ、ハヤブサ類の総称、白鳥類の総称などにある。
叶内拓哉他(1998)『日本の野鳥』に「浅い水辺を腰を上下に振りながら歩き、飛びかうユスリカをとったり、水中から水生昆虫の幼虫をとる。ときには魚類やトンボ、ハエなどの昆虫類もとる」とあり、ムシバミの由来が推察出来る。
●オナガ
・シケドリ
更科公護(1981)『筑波山周辺の動植物方言』に「この鳥が鳴くとお天気が悪くなる(大和)といわれております。それでこの鳥をシケドリ(水府、常陸太田)といっている所もあります」と。
更科公護(1986)『水戸市の動植物方言』に「シケドリが鳴くから雨になる。オナガは雨模様のときは群をなしてよく鳴くので」とある。
●カイツブリ
カイツブリは潜りの名手である。里人の呼名をさぐってみよう。
・イッチョーツブリ
尚学図書編(1889)『日本方言大辞典』にカッチョーツブリを小野蘭山(1847)『重訂本草網目啓蒙』*** 阿波を引用している。この系統のイチツブリを越谷吾山(1775)『物類称呼』**、イッチョツブリなど農務省農務局(1925)『鳥類ノ方言』*を引用している。
・イチツブリ 土州**、高知県*。
・イッチョー 新潟県*、徳島県三好郡*。
・イッチョームグリ(一潜) 仙台***、静岡県*など。
・イッチョーモグリ 神奈川県中部*、静岡県*。
・イッチョツブリ 神奈川県*、徳島県*。
・イツツブリ 高知県*。
これらの中でイッチョツブリの由来を籾山(1915)は「一町モ潜ルト云フ意」とあり、籾山(1942)は「イッチョーモグリ」(神奈川県中郡・静岡県)を「一丁潜りである。長距離潜行選手の呼名としては最相應しい」とあり、長い時間潜るからである。古名しなが(息長)鳥。