2010年3月17日、新宿御苑(東京都新宿区)でダイサギが魚を捕食するシーンを観察した。嘴で魚をくわえて呑み込もうとするものの、喉の奥までいくと吐き出してしまった。水に落ちた魚の胸びれをくわえて振り回してから、魚をくわえ直し、再び頭から呑み込もうとするのだが、またまた吐き出してしまう。そんなことを繰り返し、呑み込めないでいる(写真1)。
魚の大きさはせいぜい20cmくらい。ダイサギならいとも簡単に丸のみ可能なサイズである。しかし、どうも胸びれが刺さるのか、毒でもあるのか、吐いてしまう。「よほど困惑しているのか、ダイサギの顔面は真っ青・・・」と言いたいところだが、実は、目先が緑青色をしているのは繁殖期独特の婚姻色である。
魚の体型はオタマジャクシに似ており、頭がやや大きめ。ナマズに似ているが、図鑑で調べてみると、ギギかギバチのように見える。「背びれや胸びれの刺に刺されると痛い」という記載もある。
撮った写真を拡大して、魚に詳しいTさんにみてもらった(写真2~4)。
「体系的にはナマズ型ですが、ナマズにしては背びれが大き過ぎるようですね。体色も明るすぎる気がします。ギバチかもしれません…。ただし、ギバチは絶滅危惧種II類で、大変数が少なく、それが都心の新宿御苑にいるのはどうでしょうか…?」との返信。
筆者の運営している掲示板に写真を掲載したところ、G氏より「水質の問題から新宿御苑の池にギバチやギギが生息し続けられるかどうかはやや疑問に感じました。(呑み込むのに)かなり手こずっていたとのこと、腹びれ付近に固くてギザギザのとげをもつアメリカナマズの可能性はいかがでしょうか? 繁殖力が旺盛で、近年霞ヶ浦などで問題化しつつあります」とのコメントをいただいた。
う~ん、ダイサギが呑み込むのに難儀していたこの魚、いったい何者なのか。さらに魚に詳しいSさんに画像を見てもらったところ、「Tさんや掲示板のGさんの言われるように水質的に疑問はあるような気もしますが、以前宇都宮で観察した時には用水路でよく見かけたりしていました。飼育した際、アンモニア・亜硝酸系の毒物には弱かったようですが、単なる汚濁には思ったより適応できたりしていたような気がします。また、熱帯魚店で売られているような外来種のようには見えませんので、やはりギバチではないかと思います…」との返信をいただいた。
どうやらギバチの可能性が高くなってきたが、読者のみなさんはどう思いますか。
(2010年3月17日、写真1~4とも新宿御苑で筆者撮影)