オオオナモミは昭和の初め(1927年)に最初の記録がされたといわれるが、あるいはそれ以前から渡来していたかもしれない。近年アレチウリやオオブタクサなどとともに各地に侵略的な繁殖ぶりを示している外来種である。
千葉県八千代市の中央を貫く新川というのがあり、川の両側は広い水田や畑地帯となっていた。休耕地も増えてそこはヨシやオギあるいはセイタカアワダチソウ群落などになっていた。ところが最近オオオナモミが増え出し、気がついたら大群落が出現していた。昨年(2008年)の秋見たときも、少し大げさにいえば見渡す限りオオオナモミにおおわれていた。高さは1.5mほど、ほとんど純群落でほかの草を寄せ付けない。
花序は先の方に雄の頭花、基部の方に雌花をつける。雌花は硬い果包に包まれ、まわりにかぎ状のとげが密生している。花が終わるとこの果包が大きくなりいわゆる「ひっつき虫」になる。中に大小2個の果実があり、大きい方は翌年発芽するがもう1個はさらに休眠してその後に発芽するといわれる。
同じ場所を今年(2009年)の春、見にいった。そこはネズミムギ類のような牧草におおわれていた。種子を播いたかどうかはわからない。ところが夏にはその下にオオオナモミが伸び出しているのに気づいた。そして9月には前年と同じような大群落になった。牧草とオオオナモミが季節的に住み分けているのかどうか今後観察を続けないといけない。
実をつけたオオオナモミの群生は厄介である。中へ入り込むこともできない。これを抑えようとするなら、結実前に刈り取り、それを何年か継続して埋土種子の枯渇を図らないといけないであろう。
ちなみに、在来種とされるオナモミはなかなか見つからなくなった。ただオオオナモミとの中間的なものがあって気になるが。
オオオナモミについては全農教の「形とくらしの雑草図鑑」の106-107頁を参照して下さい。