話のたねのテーブル

植物や虫、動物にまつわるコラムをお届けします。
No.6
電子顕微鏡シリーズ 1 イチジクコバチ
執筆者:浅間 茂
2009年03月04日

ボルネオではイチジクが動物にとって大切な食べ物となっている。大きなイチジクはオランウータンやサイチョウがよく食べにきており、熱帯雨林のどこかに熟しているこのイチジクの実を食べに鳥や動物が集まってくる。まさにイチジクは熱帯林のキィーストーン種となっている。実の大きさもさまざまないろいろな種類のイチジクが見られるが、それぞれ異なる種のイチジクコバチが受粉し、送粉コバチとイチジクの関係は「一種対一種」の対応関係を持っているといわれている。世界ではイチジク属は700種を超える種が知られている。イチジクとイチジクコバチのように昆虫と花の結びつきは、互いの利益に基づき共進化してきた例として、よく知られている。
 イチジクを受粉するための出入り口はたったひとつしかなく、そこへ花粉をつけた雌バチが入り込み、花の子房に卵を産みつける。卵を産み付けられた子房は虫えいとなり、その虫えいからは最初に雄が出てききて、雌の入っている虫えいを探し交尾する。その後驚くべきことに、雄は雌がこのイチジクの内部から出られるように孔を開けるのだ。そのためか雄の体は羽がなく、脚の第一脚と第三脚は太くなっている。またイチジクの実を見ていると、イチジクコバチと同じくらいの大きさで、尾が極めて長い小さなハチが飛んでいることがある。これはイチジクオナガコバチで、寄生バチである。尾が長いタイプは、尾が長いので花嚢の外から産卵することができるため、送粉には役立っていないと思われる。熱帯雨林ではどこでも見られるイチジクの実をいくつか取って、ビニール袋入れておくと、翌日には、孔から出てきた多くの小さな真っ黒いオナガコバチの雌を観察することができる。
*2008年12月21日の自然観察大学室内講習会で田仲義弘氏の「剣の誕生」の講演で会場で示されたイヌビワコバチを貰い受けて、電顕で撮影したところ体にイヌビワの花粉がびっしりとついていた。

電顕写真